表参道眼科マニア

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視力回復手術を語る 第8回 レーシックvsホールICL ③ 重い合併症その1

      2014/10/08

レーシックやホールICLを受ける上でもっとも気になるのは『生じるリスク』でしょう。
今回はレーシックの重篤な合併症であるケラトエクタジアについて記します。

ケラトエクタジア(角膜拡張症) 発症確率 約0.01%

レーシックでは角膜にレーザーを当てて角膜が薄くなるため角膜の強度、形を保つ力が若干低下するといわれています。レーシックでは『近視の度数』と共に、この角膜の強度が弱い眼ではないかという検査が大変重要です。

元来角膜の強度がとても弱い『円錐角膜』という病気があるのですが、これは角膜がやわらかいために、眼圧に負けて角膜が突出する病気です。初期は角膜後面のみの突出であるため影響は軽微ですが、進行すると角膜前面も変形し不正乱視を生じます。不正乱視が強い場合は眼鏡やソフトコンタクトレンズでは矯正が難しく、ハードコンタクトレンズの処方が必要です。
もし角膜の突出がみられる場合は、角膜に紫外線を当てて強度を高めるUVAという治療や角膜の形状を整える角膜内リングといった治療が適用となります。
こういった円錐角膜の診断を見逃してレーシックを施術してしまうと角膜の強度が低下し、ケラトエクタジアという角膜の変形を生じてしまいます。
一般的に40歳代になると角膜が固くなるため、ケラトエクタジアの進行はかなり抑制されます。

ケラトエクタジアは人種や国によって発症率に差があることがわかってきており、日本では推定で1万分の1ぐらいの非常に低い発症率ですが、発症すると上記の治療を行う必要があるため、術後の検診はとても重要です。南青山アイクリニックでは術後時間が経っても、1年に1度の定期検診を推奨しています。

次回はICLの合併症についてお話しします。

文責H

 - 近視回復治療