表参道眼科マニア

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視力回復手術を語る 第12回 レーシックの過矯正

      2014/12/19

『過矯正』とは一般に、近視眼に対し強くレーシックをおこなった結果、遠視になっている状態をいいます。クリニックによって考え方はさまざまですが、過矯正が生じる理由はいくつかあります。

1. レーシック後に若干近視が戻ることを考慮し、過矯正気味に照射するため。
2. 矯正誤差が生じた場合でも遠視側にずれれば遠方視力は落ちにくいため。
3. 想定以上に患者の調節力が強かったため、または変動があったため。

まず1.ですが、レーシック後に近視が少し戻ることは事実で、その戻りを予測し強めにレーシックで矯正をおこなうという考え方があります。再手術はイングロースなどのリスクが高く、強めの照射は理にかなっているといえますが中にはあまり近視が戻らない方もいるため、結果過矯正につながります。

2.に関しては下の画像を見てください。

SAとVA

これは大まかに近視、遠視の度数と裸眼遠方視力についてグラフにしたものです。レーシックは精度の高い治療ですが、様々な要因により±0.5Dほどの矯正誤差は生じます。たとえば完全に屈折を0に合わせた場合は、グラフの赤線の範囲で誤差を生じる可能性があります。
近視側にずれたとしても-0.5Dくらいであれば視力は1.0以上でることが多いですが、
これが-0.75Dまでいくと、途端に視力1.0以上は厳しくなります。一方遠視側にずれた場合は、+1.0Dまでいっても視力1.0以上を保てるケースがあるので、遠方視力の向上に関していえば、遠視側の振れ幅に余裕があるのです。

3.は、視力検査の際に照射する度数を決めますが、患者の調節力が強いと元の度数よりも近視の強さを過剰評価してしまうため、結果過矯正を生じてしまうといったケースです。これを防ぐためには入念な視力検査はもちろんのこと、検査員、レーザーエンジニア、Dr.がしっかりと話し合いをして度数決定する必要があります。

いずれにしろ、術後の見え方の予測、矯正誤差や合併症が生じる可能性と対処法を患者に対ししっかり説明しておくことが重要です。南青山アイクリニックでは検査、診察とは別に、マンツーマンで視能訓練士による説明、相談の時間を設けております。

文責H

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