表参道眼科マニア

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犬も白内障になる!進行予防には目薬が有効?手術などの治療法も。

      2015/10/10

今の日本では子供の数よりペットの数が多いのが現状です。複数頭の飼育をしている方も多く、正確な数ではありませんが、約16%の人が犬か猫を飼っていると言われています。

ペットの飼育環境がよくなったこと、高齢化や少子化のためコンパニオンアニマルの存在が高まったことなどから、ペットは大切な家族・パートナーとしての存在価値が高まっています。

 

そこで、問題とされるのがペットの高齢化です。
飼育意識の向上、獣医学・予防医学の進歩に伴い、長命なペットは人間と同様に多種多様な病気を抱えるようになっています。

そのなかで、今回は犬の「白内障」についてお伝えします。

 

DogがCatに???

犬の眼疾患には、白内障以外にも「睫毛(毛)の病気」「ものもらい」「ドライアイ」「ブドウ膜炎」「網膜萎縮」「緑内障」など人と同じような眼疾患がありますが、治療法は人と犬の解剖・生理学上の違い、又はQOLの違い!?からも異なってくるのではないでしょうか。

「白内障」は水晶体が濁る病気ですが、一目瞭然、眼が白く濁っているワンちゃんを見かけることがあると思います。人の場合は、外見で白く見えるようになる以前に視力低下等の症状を自覚すると思います。

予断ですが、白内障を英語でcataractと言います。医療業界では略して白内障を【cat=キャット】と言うのが一般的です。

 

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この子は、以前飼っていたミニチュアダックスですが、眼が白く濁っています。予防の目薬も点眼していましたが、改善していたかどうかは不明です。

 

犬の白内障の原因とは?

白内障の原因は、大部分が遺伝といわれています。
トイプードル・ミニチュアシュナウザー・コッカースパニエル・ゴールデンレトリバーシべリアンハスキーなとの犬種が、多いようです。
また、糖尿病・ブドウ膜炎・低カルシウム欠症などにより引き起こされることもあります。

人の白内障の原因には、加齢が多く関係しています(紫外線の影響)。
人の白内障について 毎日新聞 医療プレミア

犬の場合も、犬種を問わす毎日の散歩などより紫外線の影響が考えられるのではないでしょうか。

 

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最近では、こんなグッズも売られています。近いうちに、サングラスをしたワンちゃんの散歩姿を見ることも多くなるかもしれません。

 

白内障の症状について

人の白内障の症状には「まぶしい」「かすむ」「メガネ等を使用しても視力がでない」等がありますが、犬の場合も、おそらく同じ症状が見受けられるのではないでしょうか。
(本当のところはわかりませんが・・・)

ほとんどの飼い主さんが、「眼が白っぽくなっている」という見た目で判断し、受診すると思います。白内障の診断には、人間と同じように散瞳剤を点眼して水晶体の濁りの程度を診察します。

白内障の状態が進めば明らかに見え方は悪くなり、家のあちこちにぶつかってしまうよう
になるので、怪我などをさせないように注意しなければなりません。

 

犬の白内障の治療

治療には進行予防の点眼液治療手術があります。

症状が進行していない場合は、点眼液を試すのも良いのではないでしょうか。なかには、点眼液で白内障が治ったといわれているものもあるようです。
ちなみに人の場合、点眼液で進行予防をしていた時期もありましたが、現在では不自由を感じた際に手術をするのが一般的です。
白内障について

 

犬の場合は「ブドウ膜炎」や「網膜剝離」を引き起こす危険があるような場合は手術が適応です。もしくは、度々ぶつかって怪我をしてしまうほど進行している場合は手術を考えても良いのかもしれません。

手術は高周波の振動で水晶体を砕きながら吸引する「水晶体乳化吸引」といわれるもので、その後、人口のレンズを入れます。人の手術と、ほぼ同じと言え獣医学の進歩は著しいですね。

 

なにより飼い主の根気と愛が大切です

いずれの治療、飼い主さんが根気よく点眼を行い、リスクを考え手術を選択することも一つだと思います。

因みに、犬は近視(0.2-0.3)で色弱(モノクロ)なので遠くの物を見る能力は劣っています。ただしその分、嗅覚・聴覚が優れているため視覚が悪くても問題はないのかもしれません。(感覚器利用率 嗅覚:4 聴覚:3 視覚:2)なので、犬にとっては、視覚よりも嗅覚や聴覚からの情報源が重要と考えられます。

 

さらに触覚も発達していて、耳のつけ根、背中、胸などをなでられると落ち着きます。
視覚以外の感覚を充実させることも、治療の一環かもしれません。
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訴えができないワンちゃんに対して、ワンちゃんを一番理解している飼い主さんが、病気を理解して、最善と思われる治療を選択するのがBestなのではないでしょうか。

 

今回の記事はワンちゃんが対象ですが、人の白内障手術について詳しく聞きたい方は、当院の眼科医による無料説明会にご参加いただければと思います。

手術室の見学、医師への質問など全て無料なので、お気軽にご参加ください。
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